私は町工場の生まれです。小学生の時から工場で遊び、時々工場を手伝っていたのを覚えています。強く印象に残っているのは高校生の時です。父の会社が大変苦境に陥り、日々憔悴しきった父を毎日見ているのがとても辛かったです。毎日心配でした。私がこのまま高校に通うのは金銭的に負担になる、何か工場で働くことができないか。しかし父は私に対し「頑張って勉強して東京の大学に行ってほしい」とだけしか言いませんでした。工場は空っぽで、もともと私が働く余地なんてありません。強い無力感がありました。

　私はものすごい頑張って世の中で言う良い大学、良い会社に入りました。東京で何か新しいものをつかみ、工場に仕事を溢れさせたい、ただそれだけでした。幸いにも途中から父の会社はV字回復して軌道に乗って絶好調になりました。そこからはのびのびと社会人をさせていただき色んな業種で色んな経験をさせていただきました。満を持して父の会社に経営者としてジョインした時は、成長した自分の力を感じました。高校のころから辿ってきた道は間違いではなかったと思いました。

　父のような会社は日本において全く珍しい話ではないようです。経営不振の工場の話を聞くたびに自分の若いころの気持ちを思い出します。とても他人ごとには思えません。

　誰が何と言うと、日本は製造業の国であると私は考えております。中小サプライヤーを中心としたものづくりネットワーク、そしてそれを支える職人は、かけがえないの日本の宝です。しかしそれがいま急速に失われつつあります。日本中小製造業の技術を守り、さらに活性化させることが、日本に飛躍をもたらす数少ない方法だと私は強く確信しております。若者と希望に溢れ、世界で戦える、そんな誇れる中小製造業を皆さんと一緒に作っていきたいと考えております。

代表取締役　小林靖弘

 

主な経歴
•金沢大学教育学部附属高校卒業
•慶應義塾大学、および同大学院卒業
•2009年～　アクセンチュア株式会社、株式会社デジタルガレージを経て、WEBビジネスの起業など

•2016年　株式会社小林製作所　専務取締役就任
•2023年　慶應義塾大学医学部　特任助教就任
•2024年　株式会社メイカーズ　創業
•2024年　株式会社木村鉄工所より事業譲渡、株式会社フレーム・メイカーズ　創業